美容師に必要な能力6選 〜③オーダーメイド〜

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次はオーダーメイド。

ヘアスタイル、髪型はスーパーに並ぶレトルト食品や洋服などの既製品ではありません。

食品でいうと僕たち美容師はお客様一人一人の好みに合わせて塩加減を変えたり焼き加減を変えたりしなくてはいけません。

某ハンバーガーチェーン店のように統一的で数種類の品物を用意するのともまた違う職種です。

洋服でいうとお客様一人一人の好みに合わせて色を変えたり丈の長さを調節したりしなくてはいけません。

某冬はヒートに、夏はクールになる肌着を売っている服屋さんのようにS〜Lサイズの品物を用意してお客様に合うものをどうぞ、という訳にもいきません。

美容師は常にお客様の顔やリアクションなど、全てが見える職業です。どこかに商品を陳列して誰かが売ってくれるわけでもなければ買ってくれたお客様の顔が見えない職業ではありません。

全てが見えることはやりがいに繋がり、時に怖さも含まれます。

僕は晴れてスタイリストになった当初は、自分が担当するお客様ができた時、お客様と話し合ってヘアスタイルを決めて実際に切って仕上げて最後に鏡を見せる時、嬉しさと不安が心の中を行ったり来たりしていました。

自分なりにお客様に寄り添ってオーダーメイドで作り上げ、1つの作品ができた嬉しさとこの作品を果たしてこの目の前のお客様は気に入ってくれるのだろうか、という不安です。

もし自分がお客様一人一人に合わせて作るオーダーメイドの作品や会話や空気感が気に入ってもらえたらお客様はまた自分の元に髪を切りに来てくれます。

それが続くうちにお客様との関係性が構築されていくことが今の僕のやりがいです。

僕たち美容師はお客様との会話内容やお客様の性格にもよりますが、お客様のパーソナルな情報をかなり知っていることになります。

名前、年齢、住所、職業、職場での人間関係、家族構成、好きな食べ物、趣味、、、、挙げるとキリがありません。

このような仕事はなかなかありません。

そこにヘアスタイルを決める髪質、くせ、髪の生え方、量の多さ、骨格、おでこの形や広さ、普段のお客様のお手入れ方、などの情報も組み合わせていきます。

このお客様の情報をふんだんに取り入れて毎回オーダーメイドの施術と接客をしてお客様に満足して頂くことがとても重要だと僕は思っています。そしてそのオーダーメイドがお客様にしっかりマッチされていることも大切です。

例えばザックリですが、[このお客様には2才のお子様がいて普段は週5で働いていて実家も遠いっちゃ遠いから頼れなさそう、元々独身時代はお酒が好きで外食にもよく行ってたみたい。髪質は幸いそんなにくせはないけど前髪の生え際には少し割れる生えぐせがあるな]という情報。

[普段時間に追われそうだし下手したらドライヤーで乾かせない日もありそうだな、、美容院も頻繁には来れなさそう、でもバリバリ働いてるし職場でステキに見えたら良いな、前髪を作ったら優しい上司、ママには見えるかもしれないけど生え際のくせを毎日濡らしてドライヤーで直すのも大変そう]という推測。

[じゃあ比較的もちの良い前下がりのスタイルにして前髪は作らない代わりに顔周りにだけ少しレイヤーをいれて柔らかさをだした感じにしましょう]という提案とご相談。の中に心の中では施術中の箸休めに[自分がこの前行ったあの飲食店はオシャレな割にファミリー層が多かったしオススメしてみよう、今朝見たニュースで自宅にビールサーバーを届けてくれるサブスクサービスを見たからそれも話してみようかな]というパーソナルな提案と距離感を詰めれてもっと色んな悩みや情報を引き出せれたらいいなという希望的観測。

そしてお客様とすり合わせながらヘアスタイルを決めていき、施術をしながら要所要所で楽しくお話して心も髪もスッキリしたらいいな、というオーダーメイドな仕事でお客様にしっかりマッチできるよう心がけています。

人それぞれ好みは違います。

正直言うとお客様とヘアスタイルの相談をさせて頂く時にお客様の好きなヘアスタイルの感じと自分の好きな感じが違うことはあります。

それでもしっかり探って探ってコミュニケーションを取りながらお客様の好みにマッチさせないといけません。

このオーダーメイドにできる幅が美容師力の幅を決めるといっても過言ではないと個人的には思っています。